例のアイドル引退について、ファンがインタビューを受けている姿をテレビで見た。
「本人が悩んで決断したことなら応援したい。今までずっとお疲れ様と言いたい。」
びっくりした。
推しが急に引退すると聞いた当日に、そんなことが言えるのかと。私だったら絶対に言えない。
推しが、急に目の前からいなくなることは、他人事ではない。
オタクがオタクをしていられるのは永遠じゃない。
まあ推しを変えジャンルを変え永遠にオタクするかもしれないが、推しが永遠にそこにいるかどうかは保証されていない。
推しの姿をずっと見続けていられる保証はどこにもない。
何度かこのブログでも書いた気がするが、過去に大好きだったバンドマンが、CDリリース直前、ツアーも発表され、これからが楽しみだという時に急逝した。明言されてはいないが自ら命を絶ったとされている。
これからCDを買ってライブのためにたくさん聞いてライブを待ち遠しく思っていたのに、その直後に発売されたCDは泣けるようなバラードでは全くない、ライブで盛り上がりそうな激しめの曲だったが私は泣くことしかできなかった。
そして本命盤も、解散したり脱退したりそういうことはないのだが、ライブ中にメンバーが倒れたり、ライブ中にメンバーが救急車で搬送されたこともあった。
「また好きな誰かがいなくなるのか」と生きた心地がしなかった。
それは推しさんに対しても、全く関係のないことではない。
推しさんの事務所は「舞台俳優、声優」が所属している。しかしここ最近舞台で活動しているのはほぼ推しさんだけになっていた。
他の先輩や後輩はどんどん声優の方に方向転換していき、また事務所をやめていく後輩もいた。
推しさんは元々声優になりたくて養成所に通っていた。
だからいつか、他の人たちと同じように舞台に立つことを止める時が来るかもしれない。
そんな不安がここ数年ずっとある。
声の仕事だけでも、推しさんが芝居の仕事を続けてくれるのならそれだけでもいいのかもしれない。
私だって推しさんの声のお芝居は大好きだ。でも私は推しさんの舞台で輝く姿が何よりも一番好きだ。
そんな大好きな姿が見れなくなっても「推しさんが決断したことなら」と応援できるのだろうか。
そして、ここ数年推しさんは体調を崩すことが増えたように感じる。
体力勝負な舞台が続き、公演中に推しさんの体のあちこちに痣や傷がないことがない。
公演中、推しさんだけ異常な量の汗をかいて息を切らしている姿を見ると、胸が締め付けられる思いだ。
推しさんは普段ネガティブだが、オタクを不安にさせるようなことは一切言わないし、そんな姿は絶対に見せない。
だからこそ心配になる、無理をしているのではないかと。
舞台はアクション等も多いことから、いつ怪我をしてもおかしくない。
よく初日に「怪我のなきように頑張ります」と挨拶する人が多いが、それは本当にその通りだと思う。
だから本当に推しさんには無理はしないでほしいと思っている。
でも推しさんは「多少の無理はします。ただ無茶はしません。」と言う。
そのくらい全力でぶつかって行きたい気持ちはわかるし、そこまで真面目でストイックな姿は本当に大好きで尊敬する。
でも、無理もしてほしくないと思ってしまう。
少しずつ無理を重ねていつか限界を超えてしまったらと思うと、その時が怖くて仕方ない。
推しさんはしっかりしているから、自分の本当の限界をわかっていて「多少なら無理はする」と言っているのだと思うし、そこは信じている。
そして推しさんの仲間が次々と役者という仕事を辞めたり、休んだりする中、推しさんはポロッと「僕もあと何回舞台に立てるだろう」とこぼした。
悪い意味ではないとわかっているけど、でも時間は無限じゃない。いつか終わりは来るってことに変わりはない。
推しさんが舞台に立ち続けることは永遠じゃない。必ず舞台に立つことを止める時が来る。
舞台を降りて声の仕事に専念するようになったら、もちろんそれはそれで応援したい。けど大好きな姿は見れなくなる。
そして、いつかは推しさんのお芝居そのものも見れなくなって、聞けなくなってしまう日も来るだろう。
どんな理由であれ、どんなタイミングであれ。
だから私は劇場に行く。その時の推しさんの姿を自分の目でしっかり見たい。
いつか後悔してしまわないように。
まあ、完全に後悔のない推し事なんて、きっと無理だとは思いますが、少しでも後悔の数が減ればいいな、と私は思います。