おたくのひとりごと

舞台俳優、ワンピが好きなバンギャのゆるいブログです。

舞台WELL~井戸の底から見た景色~感想

こんばんは9です。
先日推しさんの舞台の千秋楽でした。
綴らんでもいいかなあと思ったけど綴ってみます。

地下アイドルの女、ビル警備員の男。
激しく惹かれ合った二人は、いつしか、致命的にすれ違う。
まるでロミオとジュリエットのように。

ビルの警備、連日の夜勤。

人生、いいことなんて何もない。
こうやって死ぬまで、ボクは井戸の底辺を這うのだ。

そんなボクが、恋に落ちた。

彼女も地下に棲んでいる。"地下アイドル"という場所に。
ボクたちは惹かれ合った。
救いを求めるように。自分の存在を確かめるように。

『そして、ボクは彼女を○しました』

……なぜあの事件は起きたのか。
岡本貴也が書き下ろす、渾身の社会派演劇!

公式サイトのあらすじはこんな感じ。
オチを言ってしまうと、最後の○に入るのは大体予想していましたが「殺」という文字だった。
アイドルを好きになって、愛しすぎて、狂った最後にはそういう衝撃のラストシーンだった。
でも、主人公は知らない間にアイドルと既に出会っていて、アイドルのことを救っていた。
でもそれはお互いにお互いを知らないままで、アイドルはその知らない誰か(主人公)を想っていた。
その気持ちを殺したあとに気づいてしまった主人公は悔しいのか、悲しいのか、苦しいのか、泣き叫ぶ。
アイドルは死ぬ間際にその知らない誰かを主人公だったと気づき、あの有名な台詞を言うのだった。

「おおロミオ、あなたはどうしてロミオなの?」

これは「あなたがロミオ(想い人)でいてほしくなかった」という意味とか、「本当は素敵な人なのにどうしてこんなことをしたの?」という意味とか、いろんな意味が込められていて、これほど悲しい台詞はないなと思った。

と、結末から話してしまったけど、つまり主人公はドルオタと呼ばれるオタクだったわけだ。
そのオタクっぷりは見ていて「なんか思うところあるな」と思うところが多々あったりした。
アイドルに一懸命声援を送ってる姿、レスを貰うと爆沸きする姿、認知を貰うと爆沸きする姿、チェキ会で緊張する姿、ライブ後に仲間たちと飲み会する姿、アイドルに一生懸命リプを送る姿。
し、知ってる…知ってるぞ…となりました。しかし主人公は最初から少しズレていて、チェキ会でも「その衣装いつ洗ってんの?毎日同じ衣装じゃない?」と言ったりとか「歌詞間違えるなんてだめでしょ、決まった歌詞なんだから」と説教したりと、傍から見ても「それはないでしょ」という話題ばかり。
最終的にアイドルを殺してしまった主人公に共感はできなかったけど、撮影会でNG行為を強要するファンを制裁するところやプロデューサーにレイプされそうになっていたところを助けるところとか、性的な目では見ていないと豪語するところとか、主人公は主人公なりにアイドルを真剣に愛していて、守りたかったんだろうな、認めてもらいたかった、愛されたかったんだろなと思った。途中まではアイドルも主人公に対して感謝をしていて「支えられている」というメッセージを送っていた。
しかし主人公を狂わせたのは彼女への愛と、格差社会のつらさ、マウンティング、親からの躾という名の暴力。あらゆる闇が主人公を狂わせて行った。

主人公はアイドルを推すようになって、足繁くライブと物販に通うとすぐに認知された。そして撮影会でNG行為をする輩を制裁したことから直接DMをもらうこともあった。それでもとりまく闇の中で、満たされない主人公は彼女をストーカーするようになる。アイドルはすぐに主人公を拒絶するようになる。でも主人公の愛は止められなかった。狂って、狂って、最後には愛しい人を殺し、自分は井戸の底の真っ暗な世界へと追放されるのだった。
最後のカテコまで、全員の表情は暗く、重いままだ。最初から最後まで、この世の闇を見ていたような気分になった。

主人公に共感はできないけど、レスをもらったら嬉しいとか、認知されたら舞い上がっちゃうとか、そういうのはわかってしまうから怖い。
この公演期間中、推しさんのツイートは少なめだったけどそれに対して即リプを送ってもいいものか、こんなリプを送っていいものか、少し悩んでしまった。
主人公がアイドルに送った数々のリプの文章を聞くと、自分ももしかしたら似たようなこと言ってるのかもしれないと思うと怖くなった。
推しさんは、この物語をどう感じただろう。私達俳優オタクがそんなとこで推しさんへの気持ちに思い振り返ってみているなんて知りもしないだろうけど。主人公がアイドルに一生懸命リプを送るように私もリプを送っている。レスを貰ったら喜ぶ。そんな気持ちを、推しさんはどう考えて演じてどう感じたんだろうと思った。
そんなことに思いを馳せてしまった。オタクとしてどうあるべきなのかを考えてしまったし、推しさんが私たちをどう感じているのか、今回の作品で何を考えたのかを考えてしまった。

まあ、そんな私も小さなモヤモヤはどうでもよくて、とにかく衝撃的な作品だった。アイドルたちの闇、オタクの闇、人間としての闇。この世の中にはいろんな闇があるだろうけど、様々な闇が煮詰まった作品だと思った。もっと私が早くに観ていたらもっと早くにブログを書いて、観てほしいと宣伝するところだったけど、今回は終わりの方しか見れなかったのでとりあえずここに感想を書き記したいと思った。
どうすれば主人公も、アイドルも、幸せに生きられたのだろう。主人公が「どこで間違えた?」と言っていたが、本当に人生どこで岐路に立つのかわからない。どこで選択を誤るのかわからない。主人公がしきりに「環境さえ整っていれば僕はもっと上に行ける人間だ」と言っていたが、たしかにそれぞれの登場人物の環境がもっと違っていれば歯車はもっといい方向に回っていたのかもしれない。
でも、環境って自分じゃ選べない時が多いじゃないですか。生まれた環境とか、職場の環境とか。その中で精一杯幸せに生きるためにはどうしたらよかったんだろう、と登場人物たちのことを思い返すと涙が出てきそうになる。観劇した時には涙は一切出なかったんだけど、何故か今更になって涙が出そうになる。それくらい登場人物一人一人の気持ちや生き様が心に残ったからなんだと思う。

つらいシーンの多い作品で、演じる側の精神力もかなり大きく抉られたと思う。そう思うと全力でこの作品に向き合ってくれて熱意を持って挑んでくれた演者のみなさんには頭が上がりません。
ずっとぐるぐるとこの作品のことを考えてしまうくらいには心に残った、残り続ける作品となった。
見れなかった人のためにもDVDとか通販で売ってほしいなあと思うくらいです。

いろんなことを感じ、いろんなことを考えた作品でした。ありがとうございました。

今回は以上です。
ここまでお読み下さりありがとうございました!




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