おたくのひとりごと

舞台俳優、ワンピが好きなバンギャのゆるいブログです。

12人の怒れる男 感想

こんにちは、9です。
今日は観劇した舞台について感想を綴ろうと思います。
なんかね~もう色んなことを言いたすぎてどう感想書けばいいのかわからないけど、私なりにまとめてみます。

とりあえず、大阪AB、東京ABと計4チームで公演が行われたのだけど、私は東京ABチームを観劇したのでそこだけに絞って書いていきたいと思います。
ちなみに、関西出身の役者は関西弁で喋る、という設定になっているようでした。

公式HPのあらすじは以下のとおりです。

父親殺しの罪に問われた少年の裁判で、
陪審員が評決に達するまで一室で議論する様子を描く。
法廷に提出された証拠や証言は被告人である少年に圧倒的に不利なものであり、
陪審員の大半は少年の有罪を確信していた。
陪審員一致で有罪になると思われたところ、
ただ一人、陪審員8号だけが少年の無罪を主張する。
彼は他の陪審員たちに、
固定観念に囚われずに証拠の疑わしい点を一つ一つ再検証することを要求する。
陪審員8号の熱意と理路整然とした推理によって、
当初は少年の有罪を信じきっていた陪審員たちの心にも徐々に変化が訪れる。

陪審員たちが退廷して、とある一室に集まる。その時は8号を除いて全員が「有罪」と判断していたので「有罪」で決まりだろうと誰もが思っていた。他愛もない会話から始まる。
そして最初に評決を取ったところ、8号だけが「無罪」を主張した。ここから議論は始まっていく。
8号の最初の言い分としては「少年の死刑がかかっているのに、話し合いもせず有罪と決めつけるのはおかしい」ということだった。最もそのとおりのように見えるが、この時点で8号は少年を有罪にできない疑わしい点はいくつもある、と述べたが話し合いを進めると8号も気づかなかった疑問は次々と他の人から出てくる。8号は無罪を主張することを「賭け」と言っていた。8号自身も最初は実はそんなに疑問は持ってなかったんじゃないかな、と思った。ただ本当に「話し合い」をしてから決めたいと思っていたんじゃないだろうか。

東京B1号が、10号に「ガキじゃないんだから」と言われてキレるシーンがある。陪審員1号は陪審員長として全員をまとめ、仕切る役割だった。その1号がキレてしまう。B1号は静かに「ガキとはなんですか」と沸々と怒り、それがピークになって「いつ私がガキみたいなことを言ったんですか!」と怒鳴る。そのあとに周りが仲裁に入ってわちゃわちゃしているときに「いつ!?何時何分!?地球が何回回ったとき!?」といかにもガキくさいセリフを並べていたのが印象深かった。それに対してB7号が「あんたが1番だから!(陪審委員長を続けてくれ)」と宥めるのだが、1回じゃ通じず、何回も「あんたが1番!」と言い続けていたのがちょっと可愛らしかった。
A1号はガキじゃないんだから、と言われるとすぐに沸点に到達して千秋楽では椅子の上に登ってまで「じゃあこの役を降りる!!」とブチ切れる。その様子には周りもびっくりしているようだったし、私も「そこまでキレるのか…」とびっくりした。そこにA7号が「あんたが1番や!」と関西弁で宥めるのだが、Bと違って1発で宥めることに成功する。関西弁の強さなのか、それともBよりもAの方が年が上だからなのか、そのあたりはわからないけど、それが面白いなと思った。

B6号はガタイが良くて、お年寄りに優しいというイメージだった。しかしA6号はなんだかちょっと掴みどころがないというか、なんだろうこの人…と思うような感じだった。というのも、序盤に8号に対して全員一人ずつ「少年が有罪であることの根拠」を述べて8号に反論してもらおうというシーンのとき、6号は7号からもらったガムを噛んでいた。B6号はそれを噛み続けて意見を言おうとし、1号から「ガム捨ててください」と言われ、捨てるのだったけど、A6号は意見を言う前にガムを飲み込んでから意見を言っていた。いや…ガム…飲む??wwwとちょっと不思議に思ったし、部屋のエアコンが壊れているか(おそらく古くて汚い)エアコンを触ったあとに水を飲むときの仕草があまりにも変でこの人はふざけているのか真面目なのかわからないな、と思った。あとからA6号の役者さんのスペースを聞いていたら「A6号は一番あの中で議論を早く終わらせたかった」と言っていた。そう考えると、多分真面目ではない印象を持ったのは間違いじゃなかったのかもしれない。意見を述べる時も「アタシはねぇ」と語りだすのもなんだか胡散臭くて私はA6号が癖になって好きだった。

B7号はA7号よりも若い印象だった。だからか、B7号では「ガキ扱いしやがって」という部分がA7号では「コケにしやがって」という言い回しになっていた。台本がそうだったのか、役者本人の解釈によるアドリブ(ってほどでもないだろうけど)なのかは定かではない。
そんなB7号が「話し合いに飽きたから」と無罪の主張に意見を変える。そのときに11号(外国人)に「ちゃんとした理由を言え」と叱られる。そして涙ぐみながら小さな声で「疑問が生まれたから」と言うのだが、11号に「もっと大きな声でぶつけろ」と更に叱られ、大きな声でもう一度言い、席に座る。7号は議論に茶々を入れたり不真面目な態度が多かった。そんな7号がしっかりと自分の正しいと思ったことを言えたというのは、「ガキ扱いしがやって」と怒っていたB7号がこの議論の最中に成長したのではないかと思った。
A7号も同じように11号に叱られる。が、A7号は真っ直ぐ11号を見つめ、鼻を真っ赤にしながら「疑問が生じたから」と静かに、でも力強く呟く。このシーンはB7号が「成長」ととるならば、A7号は「改心した」となるのかな、と思った。

そんな7号に叱った11号だが、外国人という設定なのだがAとBでは国籍が違うように感じた。Bは時折英単語を挟んでいたので英語圏の外国人だと思ったが、Aはどちらかというと東南アジア系かな、と思った。
ちなみに言うと冒頭でB10号が話し合いに茶々を入れ「俺が気の利いた話をしてやるよ、こないだダウンタウンで」と言っていて、その話の切り替え方がなんとなくアメリカっぽかったし、ダウンタウンって言うとやっぱりアメリカだし、この作品の舞台はアメリカなのか!?と思ったりした。そうすると、英単語を挟んでくるB11号は一体何人だったんだろう…という謎があった。
A11号は7号に叱る時、「私の日本語わかりますか?」と言っていたので、日本に出稼ぎに来ていた東南アジア系の外国人だったのかな、と思った。
これもあとから役者さんのスペースで聞いたところ、舞台となってる国の設定は各々の解釈でやっているようだった。だから正解はもしかしたらないのかもしれない。

お待たせしました、みんな大好き4号の話をします(待ってない)
最初にAを見て、そのあとにBを見たから4号の違いにはすごくびっくりした。
A4号は最初から最後まで他人にあまり興味がなく、ツンといている印象だったし表情もそんなに変わることはなかった。自分の「有罪である」という主張にとても自信があるように見えた。
しかしB4号はそれに比べると結構感情豊かで、優しい部分も見受けられるなと思った。
B1号がガキ扱いされてブチ切れるときもB4号はB1号を宥めようとしていたし、3号がB8号に「なんなんだあいつ」と文句垂れる時も3号に優しく「でもあの人はちゃんとしてますよ」と言うのだった。
A4号はA1号がキレようが誰がキレようが我関せずのような顔をしていて、3号が癇癪を起こしたときは「面倒臭いな」というような顔で「このひとは癇癪持ちだから気にすることはない」と止めに入ったように見えた。8号に対しての「あの人はちゃんとしてますよ」もどこか冷たい言い方だった。
A10号が被疑者の少年に対して、スラム育ちというだけでの偏見をぶちまけるシーンがある。それを他の10人は一人ずつ背を向けて言って聞く耳を持たない。10号は恐らくいい会社に勤めてる感じの人。自分の意見をわかってくれるのは同じように頭の良さそうな4号しかいないと思っていたのかもしれない。最後、残ったA4号に「聞いてくれ」と懇願する。するとA4号はぽつりと「やめろ、お前の言いたいことはわかった」と言い、それでも偏見を続けるA10号に対してスッと立ち上がり「黙れ!!!」と怒鳴る。
しかしB4号はB10号に対して、静かに「…黙れ」と諭すように言うのだった。これも役者さんのスペースで聞いたのだが、それはあまりにもみんなに話を聞いてもらえないB10号、そしてそんな偏見しか言えないB10号のことが可哀想に見えてきてしまったからだと言っていた。だから怒鳴らず諭したのはB4号の優しさだったのかもしれない。そう考えると、A4号は思いっきりA10号を突き放したことになる。自分も同じ偏見持ちに見られたくなかったのか、偏見をこれ以上聞きたくなかったのか、突き放していた。そこに同情はなかったんだろうなと思った。それだけA10号が残念な人だったのか、A4号が冷たい人だったのか、そこのさじ加減はわからない。多分どっちもだったのかもしれない。

B4号の方が感情豊かだったとは言ったが、A4号も別にずっと仏頂面だったわけではない。冒頭で自分の意見を述べるとき、笑みをこぼす、との程でもないが、A4号の口角は上がっていた。それは余程の自信の表れからだったんだろうと思う。
この作品ではジャケットを脱ぐと「無罪」の主張をしているという意味になるのだが、4号はジャケットの下にベストを着ていた。自信満々だった4号は8号に「3日前の夜に見た映画のタイトルと出ていた役者は?」と聞かれて答えられなかった。これは被疑者の少年と同じことだった。(正確には少年は映画を見た1時間後に事情聴取され、その時は答えられなかった。4号は3日前の話をしているので全く同じ状況ではないが)そこで4号が信じていた状況証拠が次々と崩れていくのだった。そして4号はジャケットを脱ぎ、ベスト姿になる。そのベスト姿というのは「状況証拠が崩れたとしても、一番重要な女性の目撃証拠という決定的な証拠がある」という心理状態を意味しているのだと思う。しかし、そこでその女性の視力に疑問が生じ、その目撃証拠も疑問になってしまった。そこで4号はベストを脱ぎ、「合理的な疑問があるため有罪にはできない」と言うのだった。
ジャケットを脱いでからは最初の口角を上げた自信たっぷりの表情から、だんだんイライラしているように見えた。この作品のタイトル、「12人の怒れる男」ということで、12人は何かしらに怒ることになる。しかし4号は何に怒っただろうか。
A4号だけ見るとA10号に対して「黙れ!」と一喝したのが「怒り」に見えるのだが、B10号の諭し方を見ると、そこは「怒り」ではなかったんじゃないだろうかと思った。多分、ジャケットを脱いでから、重要な目撃証拠があるのに無罪を主張している他の陪審員の思考が理解できなくてイライラしていた。それが4号の怒りだったのではないだろうか。

この話は結局、少年が無罪か有罪か、真犯人だったのかそうでないのか、それがわかることはない。ただ、12人全員が「合理的な疑問が生じた」というだけで「有罪にはできない」と判断した話だ。
それがハッピーエンドだったのか、バッド・エンドだったのかと言われると、私は多分ハッピーエンドではないだろうと思う。というのも、最後部屋から出ていく12人。最後に8号が物憂げにテーブルを見つめてから捌けて行く。その表情はどう見てもハッピーエンドのそれではなかったからだ。
議論の中で生まれた小さな疑問たちも、「本当にそれでいいのか?」と思うものもある。それは原作が60年前のものであるし、作品の舞台がアメリカだった。しかし今回は全員が日本人で演じているし、時代設定も現代になっていた。(スペースを聞いたところによると近未来ということらしいが)
舞台となってる国と時代があやふやなので、現代の日本に置き換えるとちょっとん?となることもあったのかもしれない。でもまあ、疑問は疑問なので、私はそれでいいと思ってます。

12人が出ずっぱりで一切暗転のない、始まったら終わりまで一直線の物語。あらゆる「怒り」が巻き怒っていた。この人が好きとかこの人が嫌いとか、見ている側からすれば色んな好みが別れてくるかもしれないこの舞台。私は基本的に全員が最終的に自分の思う「正しさ」を貫いたことに好感を持った。真夏に(公演期間はちょっと寒かったけど)このような熱い舞台を観ることができてよかったです。

ここまでお読み下さりありがとうございました!

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